狭庭に咲く秋海棠の花を見ていると、高校時代に習った長塚節の歌(『鍼の如く』に掲載されていた) この清冽な歌が思い出される。
秋海棠の画に
白埴の瓶こそよけれ 霧ながら朝はつめたき水くみにけり
10月9日の誕生花(花言葉・片思い・繊細)がもう咲いている。
三十七年の短い生涯を旅と作歌に捧げ、妻子をもつことなく逝った長塚節。清潔な風貌とこわれやすい身体をもつ彼は、みずから好んでうたった白埴の瓶に似ていたかもしれない。この歌人の生の輝きを、清冽な文章で辿った会心の鎮魂賦。