与謝野晶子・鉄幹の満蒙遊記

 
 
『鉄幹晶子全集』第26巻に所収 ◆満蒙遊記(昭和3年)
 与謝野鉄幹と晶子、円熟期の歌文・評論集である、本巻前半の題目は以下の通り
【満蒙遊記】 満蒙遊記の初めに(寛) 出発と船中(寛) 大連雑記(寛)
金州以北の記(晶子) 満蒙の歌(寛・晶子) 
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    奉天にて
 畑青し東三省は滅ぶ無し煩らふなかれよき隣人よ      晶子
 宮門の濃き黄の瓦かがやきてかささぎ飛べる奉天府かな   〃
 便衣隊現れぬとて走りかふ瀋陽の子もあはれはかなし    〃 
 わが兵士きて鹿柴を立つるなり人の国なる瀋陽の市     鉄幹
 若くして異国を恐れ遠く来て今日この頃は故国を恐る      〃
   
   ◇この隣人愛に溢れる歌にほっとする。  一方、十余年後「満蒙開拓団義勇軍」として入植、奉天(瀋陽)に客死した我が父の生涯に思いを馳せざるをえない。