観一先輩文庫

「無帽」567号 
先 輩 文 庫
             
この1年間母校の創立110周年で「先輩文庫」充実に努力してきた。母校では30年ほど前から卒業生の自著(出版物)を集めていたが、これまで250冊ほどしか集められていなかった。それで、来る記念の年2010年までに、とりあえず500冊は集めようと、孤軍奮闘してきた。
記念事業の一環としての企画でもあった。すぐに100万円の本棚は設えられた。これには感激した。「2000冊収納できますよ」と発破をかけられる。  
とてもそれまでに満杯させることはできない。また、そうしたら、後が困る。「500冊は集めないと格好がつきませんね。500冊は集めてみせますよ」と広言してしまった。こうなると、後に引けない。しかし、このプレッシャーがないと、力が湧いてこない。人前で偉そうなことを言って、何も出来んじゃないかと言われるのは、男が廃るというものだ。
記念式典まで1年間しかない。1日1冊集めるつもりでないと、目標の500冊には達しない。それで、同窓生と分かれば、この1年間誰彼なしに声をかけてきた。
「あなたの著書を1冊、母校に寄贈してください」と、よく声をかけたものだ。麹で甘酒を造っている人にも、盆石を創作するのを趣味にしている人にも。前者には応じてもらえなかった。それには生活がかかっていたからだ。後者はその場限りで消えていくものを記録に留めることに意義を感じてくれたのか、急きょ自分の発表した作品集を編んでくれた。
 4万人になんなんとする卒業生の中からわずか200人にすぎなかったが、250冊の著書を記念式典の10月までにかろうじて収集することができた。なお、「准先輩文庫」として、母校奉職の教職員も含めることにした。したがって、歌人玉井清弘氏の歌集もここに収納している。
 ただ集めて並べるだけでなく、その本の紹介文を120字くらいでまとめる。この作業も一手に引き受けてやってきた。一冊一冊を丁寧に読んで批評してあげるのが最善だろうが、「ただでもらい受ける」のだからそのくらいはすべきであろう。ただ私の力では簡単な紹介文しか書けないし、書く暇もない。
(ここに紹介例示すべきところではあるが、省略する)