『この子を残して』永井隆の「如己堂」

 

 

f:id:gashuu:20220116163045j:plain

         如己堂

 昭和二十三年四月三十日、如己堂においてこの書を書き終わる。
 向こうの丘は浦上天主堂である。赤煉瓦の大聖堂はくずれ、南側の壁が危なく突っ立っている。信者の群れがその前庭に花壇を作っている。新しい木造の天主堂もできあがって一年以上になるので、すでに風景の中に落ち着いた。その前の一段下に、昨日落成祝をしたばかりの公民館の板壁が光っている。公民館の入口には、公教要理のけいこに少年たちが百人ばかり集まっている。
 町のあったこのあたりは一面の麦畑に変わり、点々とバラックがほのかに黄色を帯び始めた麦の原に浮かんでいる。間もなく麦刈りが始まるであろう。
 私の寝ている如己堂は、二畳ひと間の家である。私の寝台の横に畳が一枚敷いてあるだけ、そこが誠一とカヤノの住居である。これは教会の中田神父様、中島神父様、深堀宿老さんのご厚志によるもので、カトリック大工組合の山田さんらが建ててくださった。神のみ栄えのために私はうれしくこの家に入った。故里遠く、旅に病む身にとって、この浦上の里人が皆己のごとくに私を愛してくださるのがありがたく、この家の名を如己堂と名づけ、絶えず感謝の祈りを捧げている。

f:id:gashuu:20220116163133j:plain

 

絶滅危惧語(10)首歌)

【藪入り】は【奉公人】の里帰り 本日1/16 新な「共通テスト」

「わがからだ【焚火】にうらおもてあぶる 放哉」禁じられた癒し

小豆島銚子渓のサルたちの【押くら饅頭】以外は聞かず

【鞦韆】院落夜沈沈⋯ブランコのこと春の季語なり

稲刈りは一挙にCombineで刈る【落帆拾い】をする人いない

【妹背鳥】とはホトトギスのこと子規・杜鵑・不如帰etc

【霾つちふる】は黄砂のことなり歳時記に漏らすことなく記載され

百年後〔コロナ〕も死語となるかなあ【瘧おこり】マラリア死語に近いか

今年寅年【虎落笛もがりぶえ】冬風が物に当たって鳴る音

【仰げば】【尊し】【我が師】の【恩】今こそ別れめいざさらば

f:id:gashuu:20220116075855j:plain



1月16日誕生日の花と花言葉歌句

f:id:gashuu:20210116072905j:plain

1月16日 誕生日の全国35万人の皆さん、おめでとうございます
          
     (拙句)面映ゆき時あり人の世たのもしき   雅舟
       
【花】カニサボテン(サボテン科) 【花言葉】恋の年頃

  
【短歌】カニサボテン触れようとして触れざりし少年は恋の年頃なりき   鳥海昭子
                 
                     初めて見る花に興味はあるが触れることをためらう気持は
      思春期へのあこがれにも似ています。口数の少ない少年の
      日のあの日、あの瞬間の想いをときどき考えています。


【季語】仙人掌の花(夏) 一月

            
【俳句】少年の仙人掌を賞づ百の鉢  平山みち江
 
               サボテンの掌の向き向きに楽たのし 篠原 鳳作

                一月の川一月の谷の中  飯田 龍太
 

【万葉歌】み雪降る吉野の岳に居る雲のよそに見し子に恋ひ渡るかも
                   (巻13ー3294)

【三行詩】恋は仙人掌に似て

      うぶな少年の日の

      ためらいのままに 

【1月16日誕生日の有名人】
    井上 馨(1836)東 龍太郎(1894) 椎名悦三郎(1898) 
    伊藤 整(1905 )花柳徳兵衛(1908)   堀内恒夫(1948)
    星セント(1948)池上季実子(1959)藤田麻衣子(1984)
   
       ~今日も佳き日でありますように~