古今歌人 10人10首
近江の海夕波千鳥汝が鳴けば心もしのに いにしへ思ほゆ 柿本人麻呂
春の苑紅にほふ桃の花下照る道に出で立つをとめ 大伴家持
風になびく富士の煙の空に消えてゆくへも知らぬ我が思ひかな 西行法師
敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花 本居宣長
いのちなき砂のかなしさよ さらさらと 握れば指のあひだより落つ 石川啄木
なにとなく君に待たるるここちして出でし花野の夕月夜かな 与謝野晶子
今朝の朝の露ひやびやと秋草やすべて幽けき寂滅の光 伊藤左千夫
あかあかと一本の道とほりたりたまきはる我が命なりけり 斎藤茂吉
マッチ擦るつかのま海に霧深し身捨つるほどの祖国はありや 寺山修司