芦原すなおの原風景「観音寺弁」

直木賞作家芦原すなお、その作品の基底にある郷里香川県西部観音寺市

その文学的土壌・原風景の現れている作品を列挙しておく。

 衝撃的でデビューをなす『青春デンデケデケデケ』第27回文藝賞(1990年)

冒頭から「 雷(どんどろ)はんじゃ、稲妻じゃ!」観音寺(かおんじ)弁が堂々と使われる。面白(おもっしょ)い話である。「有明(あんりゃけ)のへんどの子」

「押しつけがましさなく」「方言の使い方がうまい」

「読者への配慮の感覚が方言の会話を通じて息づいているのを、読者は笑いながら愉快に眺め、こちらの気持ちにもゆとりが広がるのを感じる」(時評・川村二郎) 

『松ヶ枝町サーガ』(平成5年刊) 琴弾公園観音寺松原のイメージ

『海辺の博覧会』(平成19年刊) 「おもっしょげな(面白そうな)」「ハガイ(歯が湯い)など

『野に咲け、あざみ』(平成20年刊)「なんちゃ、かむかい!」

 自立の心と負けん気のでいくたのしれんを乗り越えて「いのちの花」を咲かせた泣き虫律子の多感な青春。実母をモデルに波乱の昭和と讃岐の「女坊ちゃん」誕生を描く。

 言うまでもなく磯野律子先生(新体操生みの親、熱血先生、文才はこの母親譲り)