命長ければ恥多し

命長ければ恥多し。長くともとも、四十路に足らぬほどにて死なんこそ、めやすかるべけれ。

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       『徒然草』第七段

 命あるものを見るに、人ばかり久しきものはなし。かげろふの夕を待ち、夏の蝉の春秋を知らぬもあるぞかし。つくづくと一年を暮らすほどだにも、こよなうのどけしや。あかず惜しと思はば、千年を過すとも一夜の夢の心地こそせめ。住み果てぬ世に、みにくき姿を待ちえて何かはせん。命長ければ辱多し。長くとも四十に足らぬほどにて死なんこそ、めやすかるべけれ。 吉田兼好(1283~1352) 享年70歳