大宰府「梅花の宴」に蘭の匂袋

 天平二年正月十三日大伴旅人の家宅に集まって宴会をした時の詠歌詞書に

「⋯梅は鏡の前の粉を披き、【蘭は珮の後の香】を薫らす⋯」とある

蘭=「春蘭」ではなく「藤袴」説が有力。珮=匂袋

この藤袴は、秋の七草の一つで、香りがいい。乾燥して匂袋に入れて持ち歩く。

 平安時代,宮廷人の身だしなみとして,空薫(そらだき)やえび香などの習慣が広まった我を、香料を袋などに入れて現代の香水のように身につけたり,室内に掛けて邪鬼を払う薬玉(くすだま)として使った。これが香囊(においぶくろ)で,掛香ともいう。袋物としても燧袋とともに長い歴史を持ち,正倉院御物に小香袋が7口現存している。江戸時代になると,匂袋は一般化し,浮世袋,花袋、誰袖(たがそで)などの名で親しまれ、蚊帳に掛けたり,花街では暖簾につける習いがあったが,しだいに懐中して使う形に変化した。