終戦の日のかすかな思い出

 昭和20年8月15日、僕は国民学校の二年生で、夏休みで家にいた。重大な放送があるというのでラヂオにかじりついたが、よく聞き取れなかった。これは「戦争に負けた」ことやと母や姉が言っていた。やがて分団長がそのことを触れてきた。「学校に行かんでもええ」と言われて、なにかうれしくなった。9月からの新学期からは大きく様変わりしていく。軍国主義の教育がいきなり平和教育に急転直下するわけではないが、子供なりに「時代は変わっていく」大きな希望があった。