正面に「大平正芳の墓」と大きく刻まれている。右面の戒名「興國院殿宏道浄基正芳大居士位」左面に「君は永遠の今に生き 現職総理として死す 理想を求めて倦まず 斃れて後已まざりき 伊東正義 撰書」とある。これは次のような五言絶句の書き下し文と見られる。「君生永遠今 死現職総理 求理想不倦 斃而後不已」
本来欠くことのできない死没年月日・享年が刻まれていない。何も書いていない裏面に「昭和五十年六月十二日 享年七十歳」と刻むべきであるだろうか。それをしなかったのは、「永遠の今」を生き続けている大平さんは死んでいないということでしるさなかったのかもしれない。 傍らの説明碑には、生没年代や経歴が記されている。
「得病更知旧友情 明常思長夜之愁」
(病を得て更に知る旧友の情 明けては常に思う長夜の愁)
理想を求めて倦まず 斃れて後已まざりき (「倒れて後已む」と言われるが、大平総理は現職総理として「永遠の今」を生きている。したがって死没日時は刻まれていない)