中空に澄みきはまれる明月は果たせず過ぎし青春の魂
島の池底澄み透り木の葉浮き青春のまま時過ぎゆけり
澄み渡る月夜のしじまふと出でし瑠璃鳥があり君のみ姿
鶴の声澄めりといふもかすれたる憂え含んで密かなるかな
霜月の真澄の空に何想ふ眼差しなるか島の乙女子
走り出でて澄みて哀しき魂の溶けゆくまでを見届けえるや
月澄みて狐恐がる篁をなほ奥深く窮めてゆきたし
澄み切った清水が憎い生きるには濁った水も飲まねばならぬ
夜の更けて澄み渡りたる菖蒲酒心の溶けて消え失せにけり
澄み澄みて濁れる世の人遠ざけて果てはいかにかならんとすらん