連翹の島

~小豆島の原風景をここに見る~
 小豆島はオリーブの島ではなく、連翹の島であるという著者の反俗精神が根底を流れている。「ゆーめもたのしい、そよかぜに えだがさやさやゆれている…」の観光小豆島を表向きの顔とするなら、島裏に人知れず咲いて散っていくショウドシマレンギョウを、小豆島の素顔と見ることができる。
 本書を読んで若い文学教師の甘さ、ひ弱さを非難するのは容易である。ただ、美の追求へ沈潜した心、そのひそけさ、かそけさに注目したいところである。
  オリーブは、実を結び観光産業にもなる。小説「二十四の瞳」でも多くの観光客を呼び寄せることができる。
 ショウドシマレンギョウは在来の、小豆島独自の連翹ではあっても、観光にも儲けにもつながらない。『連翹の島』という地味な小説本も全く顧みられない自費出版ものである。日の目を見ずに消えていって何の不思議もない。
 しかし、この現実離れしたような、甘く、切なく、清純さのみで生きている若者を、それにかかわる教え子たちの無邪気さに、現代忘れかけた青春の原風景を見る思いがする。 
 ショウドシマレンギョウは四国の香川県、小豆島にのみ生育する落葉の小低木。集塊岩に遺存した固有種である。高さは1~2m程、イワシデやイブキシモツケと共に、集塊岩の崖地上で低木林を形成している。葉は対生して、全縁で鋸歯の目立たないものが多いが、若枝から開いた葉には不規則な鋸歯が多数ある。枝の断面を見るとはしご状の髄小豆島の限られた地域にのみ分布する固有種。近縁のヤマトレンギョウは中国地方に分布する。がある。開花時期はヤマトレンギョウよりも少し遅く、4月~5月上旬、展葉と同時に開花する。
小豆島の限られた地域にのみ分布する固有種。近縁のヤマトレンギョウは中国地方に分布する。
学名はForsythia togashiiで、モクセイ科レンギョウ属である。


  小豆島連翹の歌
      作詞 剣持雅澄  作曲 片山和代   編曲 大出孝祐
      (女性コーラス用に昭和50年頃作られました) 

   一、 光かすかな 島裏に
        淡い黄の花 ぬれて咲く
       ひそかな恋の 涙花
        あぁ 連翹に 雨が降る
         連翹色に 雨が降る
          心のふるさと 小豆島

   二、 風さわやかな 島山に
       人知れず咲いて 散っていく
       かなしい愛の十字花
              あぁ 連翹に 風が吹く
                  連翹色に 風が吹く
                    心のふるさと 小豆島

       三、 夢もはるかな 島影に
                 島の娘は 耐えていく
                明日への夢を ともす花
                  あぁ 連翹に 光射す
                   連翹色に 光射す
                    心のふるさと 小豆島 

           【ショウドシマレンギョウ】について
       小豆島寒霞渓山間に自生する大和連翹で、一般に見られる連翹とは違います。
      故片本毅先生が発見、植物学会に認められたものです。小生はこの島に在職
       中(昭和35~38年)先生に案内されてこの花を知り、その後十余年して
       作詞・作曲しました。
 
   秋分の日、この島を離れて半世紀、フランス俳人を案内して
   小豆島を巡礼する。小説『連翹の島』 楽譜「小豆島連翹の歌」を携えて…
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