春秋(10首歌)

今は秋なのに春へのあこがれにこだわりてをり春を求めて

春愁はあれど秋愁はなし秋の憂えはただ必然の性

「此の秋は何で年よる雲に鳥」芭蕉の心に寄り添って生き

青春と名乗れば老春と嘲う幾人もある春の岸辺に

買春と先ず出てくる検索よ改悛と思い直さねば男廃れる

「女身仏に春剥落のつづきたり」じっと見入りて凍えてしまう

春秋の繰り返す日本春秋に富む若者に肖らむとす

春望杜甫の詩国破れて山河あり幾春秋に読まれ継がれて

風光るを春光と言い風薫る夏秋風蕭々と吹くのか

春眠暁を覚えず処々啼鳥を聴くこの境地にて長閑に生きたし