「蕊」考

 今春の歌会始で岩倉由枝さんの入選歌「和菓子屋をなりはひとして五十年寒紅梅の蕊をひく朝」この中の「蕊」とは何か。

「蕋」=花蘂。雄蕊と雌蕊の総称。音読み「ズイ」訓読み「しべ」 蘂・蕋とも書く。単独で「蕊」とはあまり使わないが、繊細微妙でこの歌の奥深さを表すことになっている。「芯」は「蕊」の代用漢字として使われる。「芯(シン)」は日本の造語(国字) 

 例「芯のある子」=しっかりした子。いずれも常用漢字には入らない。したがって

「心になって働く」「心の強い人」「心が疲れる」「鉛筆の心」の「心」は「芯」のことである。

 同音の「髄」は動植物の中心中軸にある組織。「蘂」は植物雌雄の繁殖媒体。

 
 

音読み:ズイ 訓読み:しべ