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大伴旅人の亡妻哀傷歌に詠まれた「室の木」はネズ(ネズミサシ)と推定される。
起
鞆の浦の礒の【むろの木】見むごとに相見し妹は忘らえめやも(巻3ー447)
礒の上に根延ふ【むろの木】見し人をいづらと問はば語り告げむか(巻3ー448)
承
礒の上に立てる【むろの木】ねもころに何しか深め思ひそめけむ(巻11ー2488)
転
離れ礒に立てる【むろの木】うたがたも久しき時を過ぎにけるかも(巻15ー3600)
しましくもひとりありうるものにあれや島の【むろの木】離れてあるらむ(巻15ー3601)
結
玉掃刈り来鎌麻呂【むろの木】と棗が本とかき掃かむため(巻16ー3830)