讃岐で「もろだ」と呼ぶ木はネズ(ネズミサシ)、万葉名「室(むろ)の木」のことである。
なかなか大きくならないが、材質が細かく堅いので、何かと用具に使われる。はで杭、おうこ、鍬の柄、そして木の鳥居にまで。しかし、今ではこの木は容易に見当たらないし、用途自身が少なくなっている。若い人などにはほとんど知られていないのが「もろだ」である。広島では「もろた」「もろほ」「もろすぎ」「むろき」「むろぎ」などいろいろ呼ばれている。『万葉集』で大伴旅人が鞆の浦(福山市)で詠んだ歌で有名になっている。
なお、園芸で「杜松(としょう)」と呼ぶのもこのネズのことである。