剣持歌集

さざれ石

川鳥「鷺と鴨」

お馴染みは鷺と鴨とのそれだけでいずれも警戒心が強くて

銀杏の実

ゆくりなく銀杏の実が出て来たり 何を思って採りたるものか 古義軒

大空を雄飛するユリカモメ

できるなら鷗になりたし鴨雀そんな鳥にはなりたくなし 雅舟

紅(くれない)の花

人も虫も鳥も魅惑す紅の花の妖艶妬ましきかな 古義軒

人生不条理五首

若者よ、雄飛せよ。

若者よ つまらないことに こだわらず 今日この日を 今この時を

カモメは悲しからずや

都鳥は 哀しからずや 空の青 海の青にも 染まずただよふ ただそれだけのこと 生⋯⋯どれだけのものか

どの子にもこの子にも好かれ

どの子にもこの子にも好かる餌付けせし都鳥とはかく親しめる 雅人

帰ってきた【カモメのジョナサン】

群集に埋没するなくおのがじし孤独を楽しめカモメのジョナサン 雅子

医者いらず

医者などに頼らず生きよう心身の清くてあれば何もいらず

日々若返る10首

日々若返る10 首 医者などは病を治すに過ぎないが我は命の若返るを知る 医学などに頼り過ぎてはいませぬか快適に生き快適にゆく じいちゃんはちと用ありてあの世ゆきしばらくしたら帰ってくるぞ 会いたい人二三いるからそれすめばお前のもとにまた帰るから …

夕べのマガモたち

財田川河口はマガモばかりなり どこへ行ったかユリカモメたち 雅子

平和なる赤い小さな実

一艘の雅舟

どこを目指す一艘の舟とは知らず雅舟と俳号定めて七十年

豌豆・空豆

空豆より一足早く豌豆は早く花から実へと急げる 雅子

立春10首

立春10首 立春と言へど楽観できませぬ日本席巻する春嵐 平成が平静に終る気がしない不吉と言はねど難題が待つ 胸深く反芻すべき難題が横たはること知るや知らずや どうすることもできない道が着きたればただ忍従の苦艱を歩め 安易なる生き方をせし過ちは自ら…

立春の白梅

立春の白梅が我が足留めたり 外に何事もなき些事なりき 古義軒

立春とも知らず群雀眠りにつく

枯草を塒に群雀眠につく立春夕べ平成末年 雅子

供花競うがごとく美麗

供花絶やすことなく墓前飾りたる祖霊大切にする田舎人 雅子

スズメの゛生態

空模様怪しげなればうちそろい雀の群れは相談している

文化遺産10首

文化遺産10首 世界文化遺産の前に国内のそれにならむと腐心する人 人類の世界遺産とならばやと躍起になれる似非文化人 物だけでなくても精神の心の襞にも文化は宿る 短歌より俳句が世界遺産として虎視眈々とじっくり根を張る 空海の始めし四国遍路道途切れ…

月桂樹天与の佳品葉も花も

月桂樹天与の佳品葉も花も 雅子

蝋梅・白梅

蝋梅が白梅に会い狼狽す「いずれ優劣決めねばならぬ」 梅子 道ゆけば蝋梅多し 白梅は探さなければ見つけられない 梅子

花嫁は中国から 10首

花嫁は中国から 10首 満洲の娘が我が家の嫁となるこの三月の早春の頃 中国から花嫁が来るそのための中国語習う付け焼き刃かな 中国は東北地区なりかの満洲哈爾浜の女どんな人かな 開拓団長父はかの地に斃れ たりその身代わりか孫の嫁に来る 日中の友好の…

孤高アオサギ

身動きもせず佇めるアオサギは我が化身とも想いみるかな 雅人

春秋の花に歌う

春秋を問わず野に咲く花に遇う 外出すれば倖せ多し 古義軒 春近く秋の七草咲き残る老いても花と野に咲き出でむ 古義軒

雌雄のかなしみ

生き物の全てに雌雄そなえたる神の心根是非いかならむ 古義軒

関東大震災(断片)

関東大震災1923年(大正12年)9月1日11時58分32秒頃に発生した関東大地震によって 南関東および隣接地で大きな被害をもたらした地震災害。 大方の記憶憶薄れし震災は関東大震災を最悪として 古義軒

乙女翔び去って再び還らず

翔んで都へ行きて還らず