剣持歌集

四季咲き撫子

万葉の昔撫子に叶はねど親しんでゐる園芸撫子 雅子

雅舟は実在せず

雅舟とはどの舟ならむと眺むれど夢幻の舟はここにはあらず 雅舟

いとし、渚の貝たち!

貝たちが渚に命果てぬれど 形骸を遺す むなしと言はむ 雅子

三架橋とユリカモメ

小春日は三架橋辺にユリカモメ都舞う平成末年 雅子

ユリカモメ(都鳥)の飛翔

餌を摂りに近くまで来るユリカモメこの愛らしさ親しみ易さ 雅舟

白梅の君(特攻の夫)

白梅の君と呼びたる特攻の亡妻すでに鬼籍に入れり 雅澄

芸術品としての夕日をあなたに捧ぐ

今宵夕日見落とす寸前馳せてゆく瀬戸内讃岐西の果てまで 雅舟

三豊干拓地の夕景色

満洲の開拓地憶う干拓地 父の志遂に還らず 雅澄

観中生とお遍路さん

讃岐観音寺市琴弾八幡山 小春日の四国霊場お遍路さん中学生と挨拶交わす 雅子

夕空の飛行雲

飛行雲見る度毎に思い出すB29の恐き機影よ 雅子

夕暮れの川鴨

夕暮れの川鴨に餌を撒きやれど寄り付いて来ぬ習性やいかに 雅舟

群れなす鳥 群れなさぬ鳥

群れなして生きれば個性埋没す * * 孤独に徹して孤鳥生きるのだ

愛くるしきカモメの瞳

ゆりかもめ人に近づき愛くるしそのぱっちりとした眸かな 雅舟 瞬きをしないぱっちり瞳ちゃん半世紀前の島乙女かな 雅人

ユリカモメ飛翔百態(この愛らしさ)

フライングキャッチがうまいユリカモメ人なっこさ抜群の鷗 雅舟

まろまろと万両のごとく生きゆかむ

万両的人生があるような気がして今日の深き悟りよ 雅子 まろまろと心ゆたかに生きゆかむ万両のまろみ最も愛す 雅子

冬の使者「ユリカモメ」

冬の使者ユリカモメ来て平成の末年の川賑はへるかな 雅子

日中友好10首

日中友好10首 日本語と中国語とは大違い安易に寄れば痛い目にあう 音読みは古代漢語漢音に寄ると言えども離れすぎてる 日本語の母音のように簡単にいかぬ中文煩雑多用 自動翻訳に頼ると困ることがあるたどたどしくも生の声出す 底辺に反日感情あると言えど…

色とりどりポリアン

色とりどりのポリアンのごとく人生貴男貴女色々

垂れ下がる烏瓜

娑婆になほ縁しのありて烏瓜 五黄 昭和36年歳末 延地五黄

竿川の白鷺

餌を漁ることに専念する時も警戒心がまづ優先す 古義軒

朝鳥は何を求めて

千里の馬10首

千里の馬10首 千里の馬恒にあれども伯楽は恒にはあらぬ不満の種あり 駿馬の才見抜いてもらえず駄馬扱いされるは人の間にもある みんなとは違う意見を出す人を奇異とみなさるは情けないこと 大方の人間は皆エゴイスト他人に認めらることが一番 過大評価されて…

この世に何を遺すか10首

この世に何を遺すか10首 地位名誉一瞬にして崩壊す実質役立つ幾莫大は遺る 時代経て価値観変れど究極の芸術品は永久に遺るか 泣く泣くもよい方を取る形見分け兄弟にしてエゴ曝け出す 諺に児孫のために美田残さず財物あれば争いのもと 本人の愛着深きコレク…

満洲10首

満洲10首 郷愁というより怨念満洲に積み遺されしことども多し 大地の子平成終るこの年に日中友好翼に乗りて 運命のことと思わる大地の子帰国するのを温かく迎えん 聖業の美名のもとに義勇軍開拓団として渡満せし日よ 満洲の使者が来るなり日本の負荷を背負…

新春紅に耀く

新春は因縁めいて紅(くれない)の花に目がゆく歓迎(ホワイン)心 古義軒

ピラカンサの名

食べられるわけでもないにピラカンサ粒粒辛苦の実を弾かせて 雅子 度忘れし思い出せないこと多くなりたる一つピラカンサの名 雅人

海辺の白馬

有明の浜辺に来ればどこからか白馬現れゆっくりと去る 雅舟

白鷺の優雅にあやかる雅舟

白鷺の優雅にあやかる雅舟あり 瀬戸に棲まひて鯱(しゃっちょこ)ばらず 雅人

花も実もありて一世終わらんと

花も実もありて人生終らんと祇園精舎の遥かなる聲 古義軒

ゆりかもめ

ゆりかもめ そのやさしさとしたしみと ひとにあたへる天使なるかな 雅人