剣持歌集

チンチン千鳥の鳴く頃は

逝く人はみんなみんな逝ってしまい 枯れ葦の向こうに千鳥が鳴いて

艶紅もみじを翹望

遥かなる北の国より艶紅の訪れを待つ花楓の下 古義軒

遠い国から幸福をもたらすために

ある日ふと遠い国から幸福をもたらすために来てくれるはず

艶紅は真夏から真冬へ

深紅艶紅 真夏より真冬へ 国境を越えて 来たりけり 雅子

君は誰だ何者だ。

私の掌に落ちし実の一つ何故あって現れたるか 雅人

サトウキビ締め

砂糖採るための黍です 締めあげて汁を煮詰めてねば砂糖摂る

真紅・艶紅国境越えて

天からの贈りものなる真紅艶紅 国境を越え日本の国へ

朝露はパール

朝露はパールの輝き 天からの地上の人へのひたすらな愛 雅子

中国語10首

中国語10首 聖業といふ名のもとに開拓地侵略をせし苦き過去あり 客死せし父の満洲奉天へ一人旅せし二十年前 中国語話せないのに二晩を瀋陽の宿に泊りしことあり 挨拶の中国語だけではすまされぬ日中国交の旅にあらざりき もう一度厚生省の計画で戦没者の遺児…

戦後も戦って逝く

戦後なほ武器を捨てずに戦って征きし若者ここに眠れる 雅子

誰よりも君を愛す

~鷗の百合子~ 人々に反目されて生きて来て今日は初めて君【百合鷗】に出逢へり

柿・金柑、実の成るものは嬉しい木

柿金柑実の成るものは嬉しい木 公孫樹も銀杏成らしているか

「都鳥よ、お帰りなさい」

つぶらなる瞳の君に再会す これで平静心を保てる 平成末年師走 近づけば逃げる鴨とは大違い 人間も又鷗のごとくあれ

逃げる鴨

逃げる鴨呼び戻す術なきものか 人を警戒する性憑きて

シマトネリコの花枯れて

園外のシマトネリコの花枯れても 園児のピースに救はれにけり 古義軒

哀し松枯れ

再びは蘇るなき松枯れの樹下にしばしを佇みゐたり 雅子

野鳥の逃げる態勢

危険予知して逸早く逃げる構え野鳥の定め逃げる態勢 雅子 安全地帯誰が定めるにもあらず 群れなし逃げる習性身に付け 雅子

鳥と鳥居はどんな関係?

「鳥と鳥居どんな関係ありますか」 答えてほしい琴弾の神 古義軒 古代インド説 :古代インドで門をトラーナ(Torana) 中国の門柱=華表説: 華表と書いて「とりい」

楓紅葉・柞黄葉・桜もみじ

楓には及ばぬものの柞黄葉枯淡の趣潜めてをりぬ 雅子 一茶寺桜もみじの気負はざる 〃

適切な判断 10首

適切な判断 10首 謝礼言う挨拶なのに自己体験語る愚かな高齢者が居る 褒めるのもくさすのもまた障りあり淡々として事実語ろう まず相手の意見聞くべし肯定の頷きありてやおら論争 独断と偏見の塊大方の人は自説を固持して譲らず 虚心坦懐他人の意見傾聴し共…

この世の花【紅葉娘】

この世の花紅葉娘に出逢ひたり昨日の余韻今日も消えなく

雨降ればつらい雀鳶

空を飛ぶ鳥に憧れていたけれど雨の日はちょっと可哀想なの(小学6年生)

稲と麦作って平凡に生きる

地主たる者に搾取されたこともあれど恩讐の彼方に

末枯れに任せて

まだ残れる楓紅葉

師走にもなれば諦め来てみれば山懐に温まれあり 雅子

平成を伐る 10首

平成を伐る 10首 平静を装って生き来たれども平成の世に激動はなかった 激動の昭和の半分30年何があったか平穏平凡平成 大正の二倍の平成30年何の時代か後世は困る ただ便利になっただけなる平成は精神怠慢心後退 私利私欲本質的に生き物は自己保全欲原罪…

意中の鳥人

意中の鳥とらえてみれば我が子なり乱倫の掟なき自然の中

朝鳥わたし

曇りのち晴れを信じて朝空を見渡す倖せ朝鳥わたし 雅人

花弁の微妙な違い

同じもの一つもなくて色合いの微妙な違いに祝福贈る 人も又みんな違ってみんないい 世界の人よもっと仲よく

粗食に甘んず10首

粗食に甘んず10首 世界には飢え死にする人何万人その実態も知らず飽食 毎日のテレビで美味い物紹介す見れば食べたく贅沢をする 語れば時代遅れなどと無視される飢えたる国民日本人が居た 食べ残し又明日食べると残しおきし今は生ごみ平気の平左 農家でも色々…