懐かしい人 10首
すれ違う車窓に浮かびし君の顔何年経っても忘れていない
何十年ぶりかに今朝がた夢に見たと文したためむと思へど止めぬ
大切にしたものは何と考えることなく言へる心の優しさ
ああそうだ年賀状だけでいいのだと細くて長い心の友どち
近づかず遠のけず距離置いた故半世紀経ても続く絆よ
沈黙は黄金にして黙殺し遠のけてきた人非人もあり
いつの間に数百人になったのか知らないけれど懐かし女人
嫌な事一度でもあれば切れていたはずなのになぜ多い筆友
互ひに又逢いたいと文に書きそのまま過ぎてしまひし歳月
み熊野の浦の浜木綿百重なす心は思へど直に逢はぬかも(人麿)