意外だった「令和」
「新元号は『令和』であります」と菅官房長官。指し出したこのり額縁の「令」は信じられませんでした。目をこすって見たのですが、奇妙な「令」の字には変わりありません。下が 「マ」ならまだしも最終画縦棒が止めにならず突き上げた感じです。それにしても、「命令」の令ではありませんか。冷たい感じの漢字です。少しして、「令嬢」の令なのだからいいのかとも思い直しました。
あらためて「和」が昭和の和と同じであることに気がつきました。平成をはさんで、また和はありえないと思っていました。「永和」を予想する人がいて、それはありえないと断じていたのですが、堂々と人気の和がまた現れたのです。
これは諦めもしましょう。「令」だけは想定外です。1374年前大化という年号が用いられるようになって以来、誰しも思いつかなかった文字でした。
更に 『万葉集』が典拠になっていることを知り、足元をすくわれる思いがしました。自分は一応万葉愛好者であり、退職後20年「万葉講座」を続けているものです。『万葉集古義』の著者鹿持雅澄の名を父に付けてもらっているだけに因縁深いものがあります。国書から選ばれると予想されていましたのではありますが、記紀など歴史書からで万葉仮名の和歌からは採りにくいだろうと、多寡をくくっていました。
それが巻5の序文(漢文)からですから意外でして、これがありえたのだと感心させられました。
「初春令月、気淑風和」から「令和」を組み合わせ元号を造語したのです。