碑(いしぶみ)との対話10首
血のつながり次第に薄れ軍人墓地形骸化され秋の風吹く
戦没の墓碑に向かえば何やらを語る言葉が風のまにまに
辞世句のほとんどは碑に刻まれずいまわの際の声に聞き入る
何故に軍人墓地を作らざるそんな地区あり信じられない
相共に供養すべきをわが墓地に持ち帰る傾向信じられない
悲愁の声聞こえないはずありませぬ戦場に散りし非業の若者
没年と戦地簡単に刻まれてそれがこの世に生きた証しか
戦死者の遺族の参列少なくなり市の追悼式いつまで続く
何か言いたいことありますか永遠に語らぬ碑に向かい呟いてみる
忘れ去る死者の多くのその中に戦没の碑は忘れざるべし