清貧の歌十首

     清貧の歌十首

 貧富の差奈辺に因のあるかとも知らず耐えて来し我人の世に

 銭形の砂絵を見れば金銭に不自由はせぬと看板にあり 

 物欲に無関心なる我なるにふと寄り来ては煩わさるる 

 欲得を忘れて山野馳せめぐる心の奥に琴線触れて

 秋の山峰々見渡し陶然と全て忘れて二人の至福 

 鉾八幡記載漏れたるところにてふとその前に辿りくるかな 

 金儲けすることのみに汲々としてこの現世を終える人あり

 秋深む風景の中に身を置いてもどかしいのは伝え得ぬ本心

 その人に関心あれば身の周り全てのことをやたら調べる

 世の中はそう簡単なものでない清貧などと嘯くなゆめ