萩の拙歌
秋萩の花のみ咲きて実らざるいくつの恋を重ね来たるか
我が庭の萩の葉毎に白露の持ちこたえたる命いとしむ
手折り持ち君に捧げばおもむろに歌の一つも返しくれるか
吹き靡く萩の小枝をはらり取り君のみぐしにそと差してみむ
しぐれ来て讃岐野に宿一つなく萩のなだりに身を寄せるかな
万葉の萩の歌にはさ男鹿の妻訪ひするをなつかしむなり
万葉の花の中では萩の歌最も多き縁しを称ふ
君に恋ひうらぶれ居れば萩の花命のままに風に任せて
万葉の世紀に返るすべもなし萩原みちは車塵をかむる
観光もコロナ禍に遭ひ萩寺を訪ふ人稀にそよろ秋風