万葉の萩に寄せて(10首歌)

   萩の拙歌

秋萩の花のみ咲きて実らざるいくつの恋を重ね来たるか

我が庭の萩の葉毎に白露の持ちこたえたる命いとしむ

手折り持ち君に捧げばおもむろに歌の一つも返しくれるか

吹き靡く萩の小枝をはらり取り君のみぐしにそと差してみむ

しぐれ来て讃岐野に宿一つなく萩のなだりに身を寄せるかな

万葉の萩の歌にはさ男鹿の妻訪ひするをなつかしむなり

万葉の花の中では萩の歌最も多き縁しを称ふ

君に恋ひうらぶれ居れば萩の花命のままに風に任せて

万葉の世紀に返るすべもなし萩原みちは車塵をかむる

観光もコロナ禍に遭ひ萩寺を訪ふ人稀にそよろ秋風