芥川『俊寛』(10 首歌)

鬼界ヶ島餓鬼の形容地獄絵図【勧善懲悪】意図しているか

色欲や餓鬼畜生を総括す【三界六道】人は輪廻す

御仏は【衆生引導】能化して【光明無量】限りはあらず

この島の女【南蛮北狄】の女のように凄まじい顔

目のあたり拝みまつれる御姿は【端厳微妙】たんげんめみょう

仏弟子にも似合わない不遜の徒【増長驕慢】邪業にあらずや

ともかくも【現世利益】勤めねば【後生往生】はおぼつかないかも 

釈迦牟尼】がこの樹の下で悟り開く【畢波羅樹】とは菩提樹のこと

この島で浄海入道悲しくて我が【浅学短才】を嘆きたるらし

不思議にもありとあらゆる【罵詈讒謗】口を衝いてぞ溢れ出にける

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