小文「西行と頼朝」論

 頼朝が西行に会ったくだりが『吾妻鏡』にあることを論じた小文がある。昭和54年「随筆無帽」185号(昭和54年刊)コピーで読みにくいが、43年前の若書きである。末文は次のようになっている。

 自然を友としながら頼朝に兵法を語る矛盾した側面を保ち、ついに歴史の流れを変えることができなかった。衣川の流れにも人生流転の予感を抱いたにすぎないのか。冴えきった歌人の心はいつの世も虚しい。