露伴の妹 幸田 延

幸田延の肖像 明治28年11月9日、25歳となった延は、5年にわたるヴィーン留学から帰国した。当時の西ヨーロッパの音楽を吸収して日本に持ち帰ったといえる。演奏家として教育者として多大な影響を与えていくことになる。この年、その前年1894年8月1日に帰国したディットリヒの後任として、延は母校の東京音楽学校教授に就任した。
 ドイツ留学歴のある音楽好きの森鴎外は、文学仲間の幸田露伴の妹・延がボストン、ヴィーンと6年に及ぶ外国留学を果たしたのを聞きつけ、音楽について語り合うため、延を訪ねてきた。この談義は鴎外全集23巻にも記述されている。ともにモーツァルトからベートーヴェンの音楽が好きな点が一致したといわれている。