梅が香にのつと日の出る山路かな(芭蕉) 処々に雉子の啼きたつ(野坡)
春の海終日のたりのたりかな(一茶) 午後とはいつまでとも知れず(雅舟)
春や昔十五万石の城下かな(子規) 松山に建つ句碑はとこしえ(雅舟)
瀧に乙鳥突き当たらんとして返る(漱石) 子規の写生をそのまま受けて(雅舟)
初蝶来何色と問ふ黄と問ふ(虚子) ここまで一句にまとめていいか(雅舟)
一枚の餅のごとくに雪残る(茅舎) 新鮮なideaでなければ陳腐(雅舟)
花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ(久女) しがらみもまたいいではないか(雅舟)
流氷や宗谷の門波荒れやまず(誓子) 春の者とはつゆ知らざりき(雅舟)
山の春神々雲を白うしぬ(蛇笏) 人それぞれの彩りであれ(雅舟)
春の雲人に行方を聴くごとし(龍太) 自分の道は自分で選べ(雅舟)
高野はもののあはれなる春 雅舟