高橋鬼灯・晴子父子句集

高橋鬼灯(平成14 年没 享年97歳 丸亀市)句集『巨鼇山』

 秋高し松に沈める一夜庵

 御像の首ややかしげ宗鑑忌

 みそなはす遍路いま絶え摩崖佛

 跼みあふ友すでになし防風掘

 この里の茶山四方なる鯉のぼり

 楠の上の月のあゆみの去年今年

高橋晴子(昭和18年生・観音寺市 健在)句集『燧灘』

 時雨れをリ死者に生者に刻が過ぐ

 雉子鳴けりふたたび鳴けりみはるかす

 満月のモスクが拒む異教の徒

 無口な医者無口な患者梅雨見てをり

 空海忌空青ければ海碧し

   夏萩に影くつきりと一夜庵