海山の写生キャンバス抱え持ち神出鬼没島を描きぬ
馬越の名も懐かしや屋形崎 見目 小海を経て大部 福田へ
うるわしのこぼれ美島と名付けしは彼女であるかもしれない
オリーブの島とは言えど本来の小豆島連翹求めて歩く
淵崎の矢代田植物馴化園貫一郎さんは富太郎の裔か
入れものがない両手で受ける放哉をしのぶは南郷庵
この島の過去の哀しみ苦しみを知らず過ごして帰り来たれり
誰一人幸福にしてやれずして帰り来たれる小豆島かな
二十四の瞳の島に教師となり夢幻の六十年経つ
恥ばかりかいて来れる小豆島オリーブの枝さやぐ下に立つ