はるけし小豆島(10 首歌)

海山の写生キャンバス抱え持ち神出鬼没島を描きぬ

馬越の名も懐かしや屋形崎 見目 小海を経て大部 福田へ

うるわしのこぼれ美島と名付けしは彼女であるかもしれない

オリーブの島とは言えど本来の小豆島連翹求めて歩く

淵崎の矢代田植物馴化園貫一郎さんは富太郎の裔か

入れものがない両手で受ける放哉をしのぶは南郷庵

この島の過去の哀しみ苦しみを知らず過ごして帰り来たれり

誰一人幸福にしてやれずして帰り来たれる小豆島かな

二十四の瞳の島に教師となり夢幻の六十年経つ

恥ばかりかいて来れる小豆島オリーブの枝さやぐ下に立つ