級友と和してゆけざる苦しさに教室の戸にしばしたたずむ 高二 野田澄夫
〔解説〕学級の雰囲気になじめず、登校拒否になる生徒は少なくない。この作者もクラスに溶け込めず、いつもぽつんと一人でいるのに相違ない。内向的な性格で仕方のないのかもしれないが、いじめやのけもの扱いされる級風かもしれない。どちらかではなく、両者の相乗作用で苦しんでいるのかもしれない。歌いぶりからNaiveな男子高校生にちがいない。同級の女生徒が一声かけてあげるだけで、ほぐれる苦痛苦悶とみなしたいが、それほど現実は甘くない。古来【和】を大切にしてきた大和民族、Keyword「和」あだやおろそかにできない一語である。「和解」「和合」が簡単にいくのなら世界に戦争などない。この現実を歌会始でほのめかすことでもできれば、万々歳である。
★ 人生の指標(モットー)として【和】【介】【健】
ある四国の農村にある中学校の校訓ではあるが、簡潔な三語が印象的である。
和=【なごやか】友人はもちろん、誰とも仲良く、人とのつながりを大切にする。
介=【ひとりだち】(なかだちでない)自主自立。自分を見失わないように生きる。 健=【すこやか】心身ともに健康であることは、すべての基本基礎になる。
和と介は対立ではなく、両者の調和が求められねばならない。
烏合の衆ではいけないし、孤立無援、付和雷同でもいけない。