森のふくろう半歌仙(4)三吟「福老の」の巻

福老の縁起かついで春の神酒   雅澄

 酔って空飛ぶ棲み処無く    雅博

我想う福老きたる精進か     光瀧

 温水湧き来立春の朝       澄

蕗のとう雨に芽を出す緑かな    博

 あぜ道で待つお下げ髪の子    澄

缶蹴りの鼻たれ坊主袖光る     博

 しばきあげねば独楽は自滅す   澄

釈迦の手で筋斗雲駆る暴れ猿    博

 犬の遠吠え雪夜の庵       澄

今むかし祇園精舎の鐘の音     博

 鳥と化したる花の名問わる    澄

モズ千羽そらを覆いて雲となる   博

 ピアノエチュード曲名知らず   澄

音楽に心の深いオザワさん     瀧

 全身全霊水仙の咲く       博

明けぬ間に探し当てねば消えてゆく 澄

 残ったもろみ能登の香ぞする   博

濁り酒酔生夢死もいいじゃない   澄

 漕ぎゆく船の目指すは北斗    博

人知れず捜索願い出せぬまま    澄

 青木ヶ原は苔むして呼ぶ     博

復活のあるや直巳は冬眠中     澄

 冷凍技術夢か悪夢か       博

受精卵千年後には翔ばしたい    澄

 化石は偉い黙して華に      博

我が庭の木の実残りを献じます   澄

 お初に食す橘の味        瀧

遥かにぞ思ひ出させるカルピスの  博

 濃淡自在光るの君は       澄

墨絵描く雪舟の背に寒の月     博

 金権政治家洗脳利休       澄

茶漬けにはワサビ利かせて芯しびれ 博

                 澄       

                 博

                 澄