「日の光」 金子みすゞ 

「日の光」 金子みすゞ

おてんと様のお使いが

そろって空をたちました。

みちで出逢ったみなみ風、

(何しに、どこへ)とききました。

一人は答えていいました。

(この「明るさ」を地に撒くの

みんながお仕事できるよう)

一人はさもさも嬉しそう。

(私はお花を咲かせるための、

世界をたのしくするために)

一人はやさしく、おとなしく、

(私は清いたましいの、

のぼる反り橋かけるのよ)

残った一人はさみしそう。

(私は「影」をつくるため、

やっぱり一しょにまいります)