清貧 10首


        清貧 10首

  使ひ捨て当たり前なる時代なりもったいないなど死語になり果て

  継ぎはぎの当たり前なるあの時代襤褸を着てても心は錦

  麦飯の弁当友に隠し食べそれでも秘かな誇りは裡に

  ふやけたる地主の子嫌う性癖の片意地今も捨ててはいない

  小作料払ひ続けて幾十年水吞百姓恨み骨髄に

  貧乏な家にはあれど精神の高潔どこにも負けぬと誇り

  精神の退廃巣食う特権層縁なき衆生とひそかに思ふ

  顔つきも言葉遣ひも倨傲なる人とは思へど付き合ひはして

  飽食の時代にあって貧困で飢餓に苦しむ国へ援助を

  芭蕉西行慕ひて漂泊の旅する我病院などでは死にたくはない

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