雅俗男女の風景(10首)
なぜかふと思い出すこと歌にすれば昇華する如浄められたる
内の嫁はあなたに惚れているといふ意外な言葉今も解せない
訪問の意図と内容チェックするふりはせずともそぶりで知れる
ふと出逢ふあの子が急に浮気したらいかんでと言ひし街角忘れず
肩叩くだけの仕草で関係を邪推するのも男女の常か
とったらいかん神社に連れ出し首絞められ逃げて帰りし女友あり
美しき誤解とかいふ若き日の一途な想ひ胸に囲ひて
信じ切ることの大切落ちこぼれこぼれこぼれて孤悲とふ魔が事
老いらくの孤悲の虜となり果てて果ては野の果て山の果てまで