風立ちぬいざ生きざらめやももろともにかの麗しの国を目指して
風光る野に出でたまへ馬の背にまたがってゆかむ苦界を越えて
風すさぶ夜は孤島にありふるさとを偲ぶ戦士であり経し若き日
風走る畑地にありて東北に席捲をせし魔の日を憶ふ
風青き越しの峠に鶯のささ鳴きたるを身を潜め聞く
風白き冬来たりけり独り居の戸の面の木立波立つ夕べ
白南風は梅雨明け頃に吹き寄せて吹き過ぎてゆくあなたの便り
春疾風怒涛の時代シュトルムウントドラング独逸語とかや
青嵐薫風よりも強くして心すさむと言ふほどでなく
川風に野風山風木下風風の宿りであなたと逢ひたし