『ホトトギス』入選10句

若き日の稲畑汀子選「ホトトギス」入選  雅舟十句

 連翹を島の土産として分かつ

 迷ひ来て西行寺の梅に会ふ

 遠浅の父祖の渚を子と泳ぐ

  雪晴や句碑彫る父子の鑿冴えて

 筑波嶺や萩なだれこむ研修室

 教え甲斐ある子なき子に年暮るる

 卒業の近く怒りは抑へをり

 並み居れる父母泣かしむる答辞冴ゆ

 年下の父となりたり花祭り

 薔薇を手に獄舎をくぐる看守かな