自転車を突いて上る

 小豆島では自転車を「突いて上る」と言うのを聞いて驚いたことがある。坂道が急峻なのでそう言うのも尤もだが、普通は「押して上がる」のではありませんか。同僚の地元の先生でした。

 三段式切り替え自転車新品を買って、小豆島の山々を廻ったものだ。単なる観光ではなく、風光明媚な島のあちこちを写生して移動するのに、自転車は欠かせなかった。島の浜辺で丘の上で坂道で多くの島人に会って、写生した絵を上げたものだ。誰も皆喜んでくれて、再開した時「額に入れて飾っとります」と言ってくれた。ニ三百枚の写生画、六十年も経ったから、今うはもうどこにもないだろう。