連翹の花のたわみをとびこえて啼くうぐひすの時にちかづく (太田水穂)
塀のうちに連翹咲ける家のありししづかなる街と思ひつつゆく(三ヶ島葦子)
春日てるこの村にいりて/連翹の黄なる花みぬ。/みちべ明るく。(石原純)
いにしへの筑摩の出で湯 鄙さびて、麦原にまじる 連翹の花(釈超空)
連翹の花にとどろくむなぞこに浄く不断のわが泉あり(山田あき)
連翹の咲きし社宅の一区画また帰るなき小さき平和よ(近藤芳美)
月蒼き夜半にいできて連翹の花むら燃ゆる庭に立つなり(岡野弘彦)
にひ草の道にとまどふしばらくをみ声れんげうの花咲くあたり(美智子皇后)
いちにんの訃を聴く夕べ連翹の闇ふくらみて水のうごかず(辺見じゆん)
連翹の黄の花よりも雪よりも我に寂けき大逆の罪(道浦母都子)