『硫黄島いまだ玉砕せず』上坂冬子著

 僧侶となって遺骨回収に執念を燃やした元海軍大佐の「戦後」を描く。玉砕の寸前に帰国命令を受けて、戦後島を再訪、そこで彼が目にしたものは、髑髏の部分を失くした無数の日本兵の遺骨であった。髑髏は、米兵が記念品として持ち帰ったのである。(文春文庫  1995年)