露草(月草)10首歌

①鴨頭草に衣色どり摺るらめども移ろふ色といふが苦しき(万葉集・作者未詳)

②いで人は事のみぞよき月草のうつし心は色ことにして(古今和歌集・よみ人しらず)

③月草のうつろふ色の深ければ人の心の花ぞしをるる(新勅撰和歌集中宮但馬)

④月草の花田のおびはとけそめぬかへらぬ色を誰にとはまし(続拾遺和歌集・藤原家良)

➄月草のはなずり衣あだにのみ心の色のうつりゆくかな(新後撰和歌集・藤原資季)

⑥月草の花色ごろもたが袖のなみだよりまづうつりそめけん(続千載和歌集・源親教)

⑦月草の色なる花ぞめづらしきちかうてみれば衣うつりぬ(続後拾遺和歌集大江匡房)

⑧彼の天の一片を切り鴨頭草の挿としたる空色の花(相聞・与謝野鉄幹)

⑨つゆ草の花を思へばうなかぶし我には見えし其の人おもほゆ(長塚節歌集・長塚節)

➉鴨頭草に冷やき雨ふるこのあした夕刊と朝刊と濡れてとどきぬ(風隠集・北原白秋)