郷土文学と万葉集

〔郷土文学 〕 
 ここで言う「郷土」とは、観音寺市、または西讃、さらには香川県内という範囲である。また、「文学」とは「古来伝承されている古典詩歌作品、文学碑が中心になる。
   〈観音寺市内〉
  俳跡【一夜庵】…俳祖【山崎宗鑑】終焉の地、興昌寺境内
         ①一夜庵由来の歌…上は立ち中は日暮らし下は夜まで一夜泊りは下々の下の客 
    ②句碑(直筆短冊の拡大)…貸し夜着の袖をや霜に橋姫御   宗鑑
    ③宗鑑流墨跡…興昌寺所蔵「紫金仙勧進帳」「徳寿軒宛書状」他数点
    ④辞世の歌…宗鑑はどちへと人の問ふあらばちと用ありてあの世へと言へ
    一夜庵を訪れた人の句…⑤いなれぬや雪を下客の一夜庵  上島鬼貫
                    ⑥松涼し鶴の心にも一夜庵      各務支考
                    ⑦宗鑑の墓に花なき涼しさよ     高浜虚子
                    ⑧松の奥には障子の白きに松    荻原井泉水     
   琴弾山周辺句碑・歌碑・詩碑
    ⑨松尾芭蕉「早苗塚」…早苗とる手もとやむかし志のぶ摺   はせを 
   ⑩松浦坐石「総持院」…暁や水鶏(くいな)の叩く夢の底  坐石
   ⑪堀野林治「象ヶ鼻」…ひうちなだ波路の果ての雲はれて伊予の高根に雪降れる見ゆ 林治     ⑫高橋藍川「象ケ鼻」…白帆鷺の如く…砂浜歴々銭形を見る(七言絶句) 藍川   
   ⑬佐佐木信綱有明浜」歌…波の音はほのぼの明けて塵の世の人影もあらず有明の浜
  〈坂出市沙弥島〉の万葉集
     柿本人麻呂の沙弥島で詠んだ長歌一首及び反歌二首
   ⑭玉藻よし 讃岐の国は 国からか 見れども飽かぬ 神からか ここだ貴き (巻2ー220)
   ⑮妻もあらば 採みてたげまし 佐美の山 野の上のうはぎ 過ぎにけらずや (巻2ー221)
   ⑯沖つ波 来よる荒磯を しきたへの 枕とまきて 寝せる君かも (巻2ー222)