奈呉の海に潮のはや干ばあさりしに出でむと鶴は今ぞ鳴くなる 田辺 福麻呂 (巻18-4034)
発句 凍鶴の声喨々と響きけり 宣長 冬
脇 影も冴やかに奈呉の白波 不遜 冬
第三 幾山河道なき道を越えゆきて 宣 雑
四 古城のほとり子らの草笛 不 雑
五 月読みの永劫の影汐がしら 宣 秋 月
六 続く砂丘に秋薔薇一輪 不 秋
ウ
一 風急に天高くして歌悲し 宣 秋
二 川霧晴れて猿叫ぶ声 不 秋
三 近松の道行文を唱ふとき 宣 雑 恋
四 天網恢々不倫の果てか 不 雑 恋
五 いざ行かなサド侯爵の夫人観に 宣 雑 恋
六 劇場後に潮騒の恋 不 雑 恋
七 虎が雨曽我兄弟も泣きまする 宣 夏
八 団十菊五朱夏の夕月 不 夏 月
九 空襲の幻影今も奪われず 宣 雑
十 北へ北へと汽車の煙が 不 春
(途中、再掲)