平成万葉歌仙二十四「鴨鳴くや」の巻 両吟

平成万葉歌仙二十四「鴨鳴くや」の巻 両吟    不遜(捌) 宣長

    起首 平成二十一年七月 一日
    満尾 平成二十一年七月十八日
 
 ももづたふ磐余(いわれ)の池に鳴く鴨を今日のみ見てや雲隠りなむ  大津皇子

 発句  鴨鳴くや雲も隠れて磐余(いわれ)池    不遜  冬
 脇    ひろごりてゆく寒の細波               宣長  冬
 第三  寝汗かく象に踏まれる悪夢見て        不  夏
 四    夏富士仰ぎおがるをやめる            宣  夏
 五   謎めいた嫦娥一号より嫦娥             不 秋・月 
 六    水琴窟は秋の琴弾き                  宣   秋 
 ウ
 一   理髪屋の「洗髪・カット」さやかなり          不  秋
 二    いい人に逢うそぶりちょと見せ          宣 雑・恋
 三   愛されずしてピエロごと泣き笑い         不 雑・恋
 四    大震あれど天譴とせず               宣  雑
 五   自民党頼りにするは孫悟空            不  雑
 六    星の流れに身を伺って               宣   雑
 七   雷神やカミナリ親父ゴロ寝中           不   夏
 八    肩こり一葉夏の月影                 宣 夏・月
 九  茶番劇お笑い知事は溲瓶顔            不  雑 
 十   公談禁止黙々用足す                 宣  雑
 十一 まんまるのお目々の稚児さん花の下      不 春・花
 十二  草千里には春風駘蕩                 宣  春
 ナオ
 一  かんばせのからくれないの風光る         宣   春
 二   朝寝きめこむフィクサー三鬼             不   春
 三  草にさえ好き嫌いある仕方なさ            宣   雑
 四   あばたも笑窪惚れた弱みか            不 雑・恋
 五  妹待ちて山の雫に濡れにけり            宣 雑・恋
 六   釣瓶井戸には冷えた大瓜               不  夏
 七  納涼のボートのオール捜してる          宣  夏
 八   都議選与党過半数割れ              不  雑
 九  口癖は一番一番名力士               宣  雑
 十   面従腹背嘘のかたまり               不  雑
十一 幸不幸糾う月の出て居りぬ               宣 秋・月
 十二  薬売り行く秋の路地裏               不  秋
 ナウ
 一  松茸を今宵は予祝に出されたり          宣  秋
 二   耳底に残る波止場の汽笛             不  雑
 三  夜空には七つボタンの兄が居る         宣  雑
 四   みそひと文字の数の不思議さ          不  雑
 五  花ふふむ美しき時とこしなへ              宣 春・花
 挙句  開かず踏切長閑なる海             不  春