【海ゆかば】
当時の大日本帝国政府が国民精神総動員強調週間を制定した際のテーマ曲。信時潔が日本放送協会の嘱託を受けて1937年(昭和12年)に作曲した。信時の自筆譜では「海ゆかば」である。 放送は1937年(昭和12年)10月13日から10月16日の国民精神総動員強調週間に「新しい種目として」行われたとの記録がある。本曲への国民一般の印象を決定したのは、太平洋戦争時にラジオ放送の戦果発表によるところが大きい。
【典拠】 万葉集 巻18 (大伴家持の長歌)
陸奥国より金を 出だせる詔書を賀く歌一首 また短歌
4094⋯鶏が鳴く 東の国の 陸奥の 小田なる山に 金ありと 奏し賜へれ 御心を 明らめ賜ひ 天地の 神相うづなひ 皇御祖の 御霊助けて 遠き代に かかりしことを 朕が御代に 顕はしてあれば 食す国は 栄
えむものと 神ながら 思ほしめして もののふの 八十伴の雄を まつろへの むけのまにまに 女童児も しが願ふ 心足らひに 撫で賜ひ 治め賜へば⋯⋯
【海行かば 水漬く屍 山行かば 草生す屍 大王の 辺にこそ死なめ かへり見は せじ】
と異立て 大夫の 清きその名を 古よ 今の現に
流さへる 祖の子どもそ 大伴と 佐伯の氏は 人の祖の 立つる異立て 人の子は 祖の名絶たず 大君に まつろふものと 言ひ継げる 言の司そ 梓弓 手に取り持ちて 剣大刀 腰に取り佩き 朝守り 夕の守りに 大の 御門の守り 我をおきて また人はあらじ といや立て 思ひし増さる 大王の 御言の幸の 聞けば貴み
4095 大夫の心思ほゆ大王の御言の幸の聞けば貴み
4096 大伴の遠つ神祖の奥つ城は著く標立て人の知るべく
4097 すめろきの御代栄えむと東なる陸奥山に金花咲く
天平感宝元年五月の十二日、越中国の守の館にて、大伴宿禰家持がよめる。