十人十色(十首歌)

文字通り紫という女人あり理想の女性紫の上

日陰なる野菊の如き君なりき半世紀過ぎ二度と逢わざる

はなやかな向日葵の君持てすぎて急転直下滝壺に落つ

完璧に技能身に付け理想的女にならんと崩壊したり

平凡な女でいいと何処へか姿を消して音沙汰はなし

鳶が鷹産んだと言えば腹立ててそんな器の小さき人あり

金銭欲出世欲などに捉われて心の襞の分からぬ人あり

詩も歌も雅び心もなき人ありそれでも人の形して生き

真実も善行も又よけれども美の使徒たるが至上のものなり

恵まれぬ人のためにと私財皆寄付寄贈して旅立ちゆきし