戦場の天使 ナイチンゲール

 

 負傷兵に接する優しい態度はまるで天使のようだった。目を見張るほどの活躍ぶりに医師たちの信頼を得ることができ、負傷兵たちから「戦場の天使」と呼ばれていた。当時の陸軍はもちろん男社会であったため、野戦病院に着いたナイチンゲール一行はお嬢様たちの御遊びと馬鹿にされて軍医から軍からも歓迎されず、看護の業務につかせてもらえなかった。野戦病院での傷病兵は不潔な病院の床にそのまま寝かされ、戦場で生き残っても傷ではなく感染症で命を落とすような悲惨さ。ナイチンゲールはそうした状況を無くそうとまず看護の業務につけなくても掃除や食事など衛生状態の改善に努めた。この尽力により病院の状態が改善されたことが受けいれられ、ちょうど戦闘が激化し傷病兵の数が多くなったことからナイチンゲール一行は看護にあたることになった。現在では普通であるが、毎日包帯を替えることや病人に合わせて料理人が作った料理を提供すること、一人一台の寝台など少ない支給物資の中からでも個人の健康管理を考えた看護を行った。また、看護の仕事だけでなく、負傷兵のために母国に残された家族に手紙を書いたり、死亡した兵の家族に死亡報告と一緒に僅かでも義援金を添えたりと心理的な面でも力になるために奔走した。