東條操編『全国方言辞典』昭和26年 東京堂刊

 我が国初めての『全国方言辞典』 柳田國男の『民族學辞典』姉妹編として新村出の賛辞が寄せられている古典的力作(879頁) 全国500に余る方言集の集大成。その一部⋯

とぎ=葬送(香川県三豊郡・愛媛県周桑郡ほか) どない=どんな(香川・徳島ほか)

にどいも=馬鈴薯(香川・愛媛ほか) はしりごく=競走(香川県三豊郡・徳島ほか)

はぜ=稲架(香川・広島ほか) ひしてじゅう=一日中(香川愛媛ほか) びんさん=お嬢さん(香川県丸亀) ふくと=河豚(香川県伊吹島・淡路島ほか) ふるつく=梟(香川・高知ほか) もてん=やりきれない(香川・大分ほか)   🌟まいあがる=調子に乗る(香川・徳島周桑郡) 🌟この件に関する剣持補足⋯「さいあがりのまいあがり、雲辺寺の赤幟」という俚諺香川県三豊郡に伝わっているのはこの証左になる。香川県徳島県にまたがる雲辺寺四国八十八ヵ所68番札所に立てられた赤い幟は下界から目立ち、「さいあがり=お調子者」に喩えられひやかされた。古謡として遺したい讃岐文化の一つ。