『源氏物語』(鈴虫→松虫)(松虫→鈴虫)

 
 平安朝『源氏物語』に出てくる「松虫⇔鈴虫」反対になってくるのは、
周知の通りで、こと新しいものではない。
 「鈴虫は心やすく、いまめいたるこそらうたけれ」(38帖鈴虫)
 (鈴虫は親しみがあって陽気に鳴くのがかわいらしいものである)
 女三宮「おほかたの秋をばうしと知りにしをふり棄てがたきすず虫の声」
 この「鈴虫」は今の松虫でチンチロリン、チンチロリンと可憐にはなやかに鳴く。
 
 一方の松虫は鈴虫のことで、リン、リン、リン、リーンと悲しげに鳴く。
御息所「おほかたの秋の別れも悲しきに鳴く音な添へそ野辺の松虫」(10帖賢木)
 
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