平成万葉歌仙「橘や」の巻


平成万葉歌仙三十三「橘や」(花づくし)の巻(満尾)

橘は実さへ花さへその葉さへ枝(え)に霜降れどいや常葉(とこは)の木   聖武天皇(巻6-1009)

発句  橘や雪花咲けど常葉の木    宣長  冬
脇    朝明け映ゆる枯れ菊の野辺  不遜  冬
第三  顔(かんばせ)のその含咲(したえみ)は華にして 宣 雑
四    オランダカラシベランダに咲く 不  雑 
五   市振は芋焼く匂い萩と月      宣  秋月
六    奥山深山濃き笹竜胆      不  秋

一  うはぎ煮る時季も過ぎたり秋の風  宣  秋
二    シンビジウムを君に捧げん     不  雑恋
三  妃殿下の思慕のクラウンプリンセス 宣 雑恋
四   狐の孫さん恋しい季節      不 雑恋
五  白薔薇のブーケ捧げるお稲荷さん  宣 雑恋
六   一月元旦先ずは福寿草      不 新
七  プリムラの鉢が迎える年始客    宣 新
八   向日葵の上月も燦々       不 夏月
九  お辞儀草昼の疲れでぐっすりと   宣 夏
十   ペパーミントの心地よい風     不 雑 
十一 日本人この花咲くや姫が好き    宣 春花
十二  梅と桜と今は山帰来        不 春
ナオ
一  口遊む「忘れな草をもう一度」   不 春 
二    渇く心に馬酔木の匂い      宣 夏 
三  どこもかしこもベコニアばかり   不 夏
四    瓔珞草に戯るる月         宣 秋月
五   千谷来て朝顔に秘む色懺悔     不 秋恋
六   ケーオーボーイハートミセバヤ  宣 秋恋
七  侘助に昔の芸妓夢うつつ      不 冬恋
八   孤悲の形の寒葵咲く       宣 冬恋  
九  ミモザとは何処かで見たぞコンニチハ  不春
十   酒の肴にかたかごを摘む      宣 春
十一 シクラメン・豚の饅頭好きよ好き  不 春
十二  のんびりゆっくり河骨の歌     宣 夏
ナウ
一  木の窪みこんなところに岩鏡    不 夏
二   鬼婆ロープ巻くクレマチス     宣 雑
三  誠なる伊丹の俳人寒牡丹      不 冬
四   蝋梅の待つ酒蔵文庫       宣 冬 
五  あちこちと寄り道しつつ花の山   不 春花
挙句  奈良九重の藤の明光      宣 春